2022年3月31日を持ちまして、わかばルームは千葉県市川市本八幡での営業を終え、岡山県倉敷市に移転しました。
内輪のことではございますが、2019年9月、突然の私の母の入院が大きな転機となりました。拙相談室に通室される皆様の温かいご支援もございまして、私は本八幡と実家の広島県福山市をほぼ隔週で往復する生活を2020年1月まで続けることができ、母の退院まで漕ぎ着けることができたのでありました。皆様には深く感謝いたしております。その後、往復の頻度を減らし、元の業務形態に戻って、しばらく様子を見ようと考えておりましたが、思い通りにはいかないもので、ちょうどそれがコロナ渦の始まりと重なり、一度も退院した母の様子を見に行けないままどんどん月日が過ぎていくこととなったのでした。
わかばルームに通って下さる皆様のことを考えると、いろいろ葛藤せずにはいられませんでしたが、親子や家族のご相談を生業としながら、自身の家族のことについてはおろそかにしておいて何食わぬ顔で仕事を続ける自分というものは到底受け入れられないと感じ至り、移転の決断をいたしました。緊急事態宣言の合間を縫って、実家に近いところで新たな活動の場はないかと探しまわり、紆余曲折を経て、倉敷に移転先を見つけました。
移転せねばならない事情をご理解いただき、その後もそれぞれの相談終結まで通ってくださった皆様方には、申し訳ない気持ちと共に、感謝が尽きません。移転後もインターネットを介した遠隔相談でわかばルームのご利用を継続してくださる方々の信頼にお応えできますよう、まだまだ誠意をもって努力を重ねて参らねばならぬと感じております。
15年間に渡り、本八幡で多くの方々と何か不思議なご縁があってお会いできて、お互いの記憶の中にお互いが沈んで残っていって、私にしてみれば、いくつもいくつもあの相談室の中で起こった出来事を次から次へと思い出せるのですが、もうあの場所はこの世にはなく、全てが夢の中のことのようになってしまいました。本八幡の終わりの数日間になると、今までのこれは全部夢であったような気がしてなりませんでした。実のところ、思い起こせば、本八幡で開業させていただいて間もなく経った頃にはすでに、ふとした瞬間、あの場所で自分の相談室を持てたことが奇跡である気がしてならなくなるのでありました。ただただ、自分には何ができるのか?…という力量のようなもの以上の、数々の条件が揃わなければ実現することのない美しい場所であることを何度も感じるのでありました。
ですから、「移転する」などということは、とてももったいないことであったと強く確信するのでありますが、対峙せねばならなくなった自分自身の宿命を受け入れ、新たな倉敷でのわかばルームに命を吹き込んで参ります。本八幡での実践に終始せず、更なる皆様のお役に立てる形を発展させ、世の中がより良き場所になっていくよう、探求と精進を続けて参ります。
新たな地域におきまして、新参者ではございますが、お役に立てることがございましたら幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
末筆ながら、首都圏にて不肖私目にご指導ご鞭撻下さり、また温かく見守り励まし下さった先輩先生方に厚く御礼申し上げます。先輩先生方から飛び散った世を良きところにしたい思いの欠片を新たな場所でも引き継いで参ります。そして、もっとその欠片を拡散させていきたく存じます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
わかばルーム 主宰 奥山信爾
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